くず餅には「葛餅」と「久寿餅」があります。
葛餅とは、葛粉から作られた和菓子。
「久寿餅」は、小麦粉を原料に一年半近い年月じっくりと発酵させて作る和菓子です。
関西中心の葛餅
葛粉で作られた葛餅は関西を中心に食べられています。
葛粉にも本葛と呼ばれる、葛という植物から取った澱粉と、サツマイモやジャガイモから取った澱粉があります。
本葛は材料の葛の根を取るのも大変なら、製造工程も大変手間隙がかかるために、高価で、生産量もわずか。
なかなか本葛をきちんと使った和菓子は少なくなっています。そのため本葛を用いた葛餅はちょっと贅沢な和菓子です。
葛粉を用いた和菓子には、ほかに葛切り、葛湯、水まんじゅう、葛桜などがあります。料理なら胡麻豆腐や葛あんをかけた料理など。
ちなみにわたしは葛切りや葛湯は大好きですが、水まんじゅうや葛桜は苦手。葛餅も、よく混同されるわらび餅が圧倒的に好き。
葛餅のお取り寄せは
■【ベルメゾン】吉野の葛餅(坂利製麺所)
江戸名物、久寿餅は発酵食品

久寿餅は江戸の名物。
元祖の船橋屋をはじめとする亀戸天神周辺と、川崎大師周辺と、池上本門寺周辺で、お参りのときのお楽しみとして食べられ、売られています。
この久寿餅は、実は大変手間のかかる和菓子。
小麦澱粉(ちなみに小麦粉=小麦澱粉+グルテン。グルテンはお麩の材料)に水を加えて寝かせて乳酸発酵させます。8ヶ月(240日)くらい寝かせれば久寿餅を作れるようですが、たとえばこの左の写真の元祖船橋屋の場合、さらにおいしくするため、450日も寝かせています。
充分に発酵した原料をさらにこしたり、洗ったりしてから、ゆがいて、型に入れて蒸して、切って、ようやく完成。
こんなに長い月日をかけて作ったのに、できたくず餅は生もので、わずか2日の賞味期限。
庶民の味ながら、人件費や土地代が最も高い現代においては、この手間隙はとてつもない贅沢だという気がします。
久寿餅のお取り寄せは
元祖くず餅 船橋屋オンラインショップ
初出:2012.5.12 更新:2015.6.12